2025年アメリカ小売のリアル:経済の波をどう乗りこなす?

はじめに

 2025年のアメリカ経済は「強さ」と「不安定さ」が同居しています。インフレや関税の影響で消費者は財布の紐を締めつつも、「本当に欲しいものには投資する」という傾向が続いています。そんな中、小売業界は新しい形のビジネスモデルを模索中です。

「どんな戦略が成功しているのか?」
「どの分野が伸びていて、どこにリスクがあるのか?」

そんな疑問に答えつつ、最近のユニークなトレンドも紹介します。

目次:

1. 経済全体の状況

2. 新しい消費のカタチ

3. 勝ち組・負け組

4. まとめ





1. 経済全体の状況

  • 小売売上は前年比で+2〜3%と堅調。

  • ただし、インフレを差し引いた実質消費は横ばい。

  • 特に家具・家電、日用品など関税の影響をモロに受ける商品は苦戦気味。

  • 一方、オフプライス業態(TJXやBurlingtonなど)はむしろ好調。

つまり「買うけど、より安くて価値のあるものを選ぶ」流れがはっきりしてきました。



2. 新しい消費のカタチ

早めに買う

ホリデーシーズンのギフトや必需品を「関税が上がる前に」「在庫切れになる前に」買う動きが顕著です。TargetやWalmartはその心理を利用して、前倒しセールを仕掛けています。


中古リセールの台頭

最近注目されているのが、「ブランド自身がリセール市場に参入」する動き。たとえば:

  • Patagonia …自社の「Worn Wear」プログラムで古着回収&再販。

 ・Nike …「Nike Refurbished」で返品品や中古を再整備して販売。

  • Lululemon …「Like New」でヨガウェアやレギンスのリセールを開始。

これまでは中古品=eBayやPoshmarkなど外部プラットフォームの役割でしたが、ブランドが直接管理することで:

  • 顧客との接点を持ち続けられる

  • ブランドの信頼性を担保できる

  • サステナブルな姿勢を打ち出せる

といったメリットが生まれています。若い世代(特にZ世代)は新品と中古をミックスすることに抵抗が少ないため、リセールは今後さらに成長すると見込まれます。

3. 勝ち組・負け組

  • 負け:At Home(家具・雑貨チェーン) → 関税コストと利上げの波を吸収できず倒産。

  • 勝ち:Burlington → オフプライス戦略がハマり、2025年に55店舗拡大。

  • 勝ち:Amazon → 「安くていいもの」需要を狙い、自社食品ブランドをローンチ。関税影響の強い商材限定状況からの脱却

「価格に敏感な消費者」「流れの移り変わる経済、政治動向」にどう向き合うかが今後小売店にとって生死を分けるということです。ただし、Dollar Treeなどのいわゆる安売りも苦戦を強いられていますので、単に価格だけでなく、(Amazonで変えないような)ユニークで価値のある商品を届けられるかどうかも重要な要素といえます。

4. まとめ

アメリカ小売の最新トレンドはこんなキーワードで表せます。

  • 早く買う(インフレ・関税を避けたい心理)

  • 安く買う(オフプライスやPB商品)

  • 賢く買う(リセール・中古市場の活用)

  • 好きなブランドをどこでも買う(DTC+リテールのハイブリッド)

2025年のアメリカ市場は、確かにリスクが多いですが、「消費者心理に寄り添ったブランド」には大きなチャンスがあります。

👉 参考リンク

https://nrf.com/research-insights/forecasts/nrf-annual-retail-sales-forecast-faq? 
https://www.deloitte.com/us/en/Industries/consumer/articles/q1-2025-retail-consumer-trends.html
https://www.ey.com/en_us/insights/strategy/macroeconomics/us-retail-sales
https://www.reuters.com/business/retail-consumer/ https://www.wsj.com/?mod=nav_top_section

 

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