<2022展示会レポート①> シカゴ展 高まるMade in Japan の価値

 

2020年、2021年と二年連続でキャンセルになっていた The Inspired Home Show インスパイア―ドホームショーが、今年3月4日から7日に、二年ぶりに開催されました。本展示会はシカゴで毎年3月に行われ、北米で最大の日用品、ホーム製品の展示会といわれています。50カ国から約2,300社が出展し、アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジアなど120カ国から23,000人のバイヤーを集めています。キッチン、ホーム(バス、クリーニング、収納関連)製品が会場の中で最も広い面積をとっていますが、最近ではデザイン性の高いギフトアイテムの出展も見受けられます。

 今年は会期を一日縮小し、コロナ対策を十分に取られた上での開催になり、弊社も9.5ブースを確保し Japan Pavilion (ジャパンパビリオン)として出展しました。

 


当該展示会の2019年の来場、出展社実績は以下の通り。

99% of key U.S. Housewares buyers in attendance.  
More than 8,000 International Attendees from 130 countries.
The media impact from the Show generated over 350 million consumer impressions
Over 2,200 exhibiting companies in the 2019 Show. Over one-third of these exhibitors are outside the United States. The Show is categorized into five expos and 19 product categories.
(アメリカの日用品関連の大手バイヤーの多くは参加しており、130の国から8000以上の来場者数がある。出展社も2200社以上で、1/3はアメリカ国外からの出展社であり国際色豊かな展示会である。)

 本年はパンデミックの影響もあり、多くの出展社がキャンセルをし、来場者自体も実績値はまだ公表されていませんが、おそらく例年の1/3-1/5 程度の数であったように思います。私たちが出展したブースはNorth (北会場)の、メインストリートに面した一等地でしたが(周りにはSimple Human https://www.simplehuman.com/ やUmbra https://www.umbra.com/ 、Joseph Joseph https://www.josephjoseph.com/ など、ホーム・キッチンでの超有力企業が並ぶ。)、引き合い数は劇的に少なかったです。

商談の中で見えた、高まるMade in Japan への期待
ただ、各引き合いの内容自体は、以下に述べるような大手のバイヤーが多く、充実した展示会であったといえます。バイヤーとの商談の中で、いまだかつてないほどに、アメリカやヨーロッパを中心とした欧米兼のバイヤーがMade  in China以外の製品を探し求めていて、Made in Japan の存在価値は高まっているように感じました。理由としては以下の二つが大きな原因といえます。

理由① アメリカの中国製品に対する政治的な規制ないし、消費者心理の悪化

トランプ政権下で高まった中国製品に対する輸入規制(具体的には関税の増加)は、バイデン政権でも基本的に継続されており、特にウィグル地区での中国政府の動きに対しての反発により、同地区からのコットン関連商品の仕入れを禁止している大手企業も多く存在しています。特にミレニアルズを中心とした世代でも、Made in Chinaの安価製品ではなく、質が高く、素材や製法の高い製品が好まれるという傾向はここ数年で高まっています。



理由② 世界的情勢不安、物流不安による仕入れ先の多角化の促進

コロナパンデミック以降深刻化した、世界物流の混乱により、2021年のホリデーシーズンにおいて、アメリカの多くの小売店は、パンデミック後に前向きに改善した消費者の消費意欲に対して適切な仕入れが叶いませんでした。既存の限定された仕入れ先からの仕入れに頼っていた分、不足分をタイムリーに補うことができず、一部の小売店ではホリデー時期に棚に物がないというような、一時的な物不足にさえなりました。
さらに年明けからのウクライナ・ロシアでの情勢悪化に伴うロシア、そして潜在的なリスクをはらむ中国を含めて、リスクの高い仕入れを避ける、もしくは仕入れリスクを分散する動きが加速しつつあるといえます。

 こうした、主に欧米諸国におけるバイヤー心理を読み取り、適切な商材の提案、価格や納期条件を提示していくことで、今まで大手企業の独占販売だった商流にも、日本からの新規企業が入り込める可能性が出てきている、と強く感じた展示会でした。


 



パンデミック以降初めてのシカゴ展は、トラフィックに劇的な現象が見られたものの、多くの大手優良企業(かつこれらの企業はパンデミック化でも、うまく市場ニーズをつかみ成長を遂げた企業)のバイヤーがリアルな展示会に戻ってきて、彼らと多くの良い商談ができたということは非常に前向きな結果といえます。出展社数が少なかったこと、出展のロケーションが良かったということも、こうしたバイヤーたちと極めて本格的な商談ができたということにもつながったといえます。


世界が目まぐるしく変化し、企業は「今までと同じ」ではなく、そうした変化に柔軟に対応、変化し、市場ニーズにこたえていくという、まさにマーケティング力が求められています。市場は日本企業にとって追い風の状況が整いつつあります。アメリカ市場の時流を読み解き、適切にプレゼンテーションし、バイヤーの要望に柔軟に答えていくことで、着実に大きな売り上げを実現させていくことが私たちのミッションといえます。

 
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