アメリカの関税アップデート:日本からの輸入品はどうなる?

ご存じのとおり、2025年4月、アメリカは大規模な関税政策を打ち出し、現在世界はその動向に翻弄されています。特に日本からアメリカへ商品を輸出・販売している企業にとっては、しっかりと把握しておきたい内容ですので、4/10/2025時点での最新の情報をまとめたいと思います。


目次:

  1.  今回の関税、なにが起きたか?

  2.  日本からの商品カテゴリ別・影響まとめ(2025年4月現在)

  3.  De Minimis Exemption(800ドル免税措置)って?

  4.  最後に:企業として今できること


  1.  今回の関税、なにが起きたの?

  1. 2025年4月5日から:一律10%の関税スタート
     → すべての輸入品に対して基本関税が適用されました。

  2. 2025年4月9日から:日本を含む60カ国以上に追加関税(例:日本 24%)を発動予定
     → つまり、日本製品には最大で34%の関税がかかる見通しでした。

  3. しかし当日、90日間の“追加関税停止”が発表!
     → 現在は、日本製品には10%の基本関税のみが適用中です(2025年7月上旬まで予定)。

中国製の商品を販売するブランドは早くも上記のような、価格改定の可能性を示唆する連絡を通知しはじめている。


2. 日本からの商品カテゴリ別・影響まとめ(2025年4月現在)

🚗 自動車・自動車部品

  • 本来:最大34%の関税予定

  • 今は:10%のみ適用中(追加関税は一時停止中)

📱 電子機器(家電・IT製品など)

  • 例:カメラ、イヤホン、キッチン家電など

  • 今は:10%のみ適用中

  • ※800ドル以下ならDe Minimisで免税対象

💄 美容品(スキンケア・コスメなど)

  • 関税:現在は10%適用中

  • 競合と価格差が出やすいため、MSRPの見直しが必要な場合も

🧴 日用品(文房具・家庭用品・雑貨など)

  • 例:ペン、収納ケース、タンブラー、ハサミなど

  • 今は10%適用、800ドル以下なら免税

  • 日常消耗品なので、価格の影響は直接的

🍜 食品(加工食品、調味料など)

  • 食品も基本的には10%関税対象

  • 輸送コストと合わせてコスト上昇に注意

  • ※一部食品はFDAや通関規制もあるので別途確認が必要



3. De Minimis Exemption(800ドル免税措置)って?

高関税が発動されつつありますが、De Minimis Exemptionという回避策?もあります。De Minimis(ディ・ミニマス)ルールとは、アメリカへの800ドル以下の輸入商品に対しては、関税・通関手数料が免除される制度です。

✅ 現在の適用状況(2025年4月時点)

  • 日本からの貨物:800ドル以下は免税継続中!
     → FedExやDHL、日本郵便など、どの輸送方法でもOKです。

  • 中国・香港からの貨物:2025年5月2日以降、免税廃止
     → 今後は低額でも関税がかかります。

  • 🔮 将来的に日本も対象外になる可能性はある?
     → 大統領令には「今後、システムが整えば他国にも適用を拡大する」と記載あり。
     → 現時点では日本は“セーフ”ですが、今後の動向には要注意です。

  • 日本政府は「極めて遺憾」とし、トランプ大統領に追加関税撤回を要請

  • 90日間の猶予ができた今、日本としては交渉のチャンスと見ています

【速報概要】
2025年7月30日付でトランプ大統領が署名した大統領令により、米国は800ドル以下の商業貨物に対する関税免除(デミニミス制度)を2025年8月29日付で停止します。

▼主な変更点:

  • 対象: 国際郵便以外の全ての商業貨物(航空便、民間宅配便等)

  • 変更内容: これまで800ドル以下であれば免税だった商品にも関税が課されます

  • 郵便経由の貨物: 一時的に1点あたり80〜200ドルの定額課税(6ヶ月間)、その後は原産国に応じた割合課税へ移行予定

  • 法的根拠: すでに成立していた「One Big Beautiful Bill Act」により、制度自体は2027年7月1日に完全廃止されることが確定していますが、今回の大統領令で前倒し施行されます

【想定される影響】

  • D2Cや越境ECを活用している日本企業にとって、価格競争力の低下や追加コスト発生の可能性があります。

  • 関税負担の所在(出荷者負担/購入者負担)を明記するなど、商品ページやチェックアウト画面での対応も求められます

地方自治体や企業による違法性の申し立てなどで裁判所から大統領令への停止命令がくだれば上記の通りではない可能性はありますが、基本的には適用がされないという前提、つまり関税15%増として考えていく必要があります。


4. 最後に:企業として今できること

日本政府は「極めて遺憾」とし、トランプ大統領に追加関税撤回を要請し、これからの外交が次の関税政策に直接的に結びつき、そしてそれが私たちのビジネスに大きく影響を及ぼしていきます。動向を注視しつつ、利益構造を見直し、状況に合わせて柔軟に対応していく必要があります。

  • 価格設定の見直し(FOB・MSRP・販売価格)

  • 800ドル以下の出荷活用の検討

  • 米国小売への価格案内は、少なくとも2か月前に準備

  • 関税再開に備えた利益率・物流戦略の見直し

今後も最新情報を注視していきたいと思います!

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